***詩は人生の細波***


キャンバスの中の夕陽。

それは、あなたです。

いや、わたしかも知れません。

どっちでもいいんです。

「キャンバスに 落ちる夕陽も 寂しげに 夢落城の 残り華かな」

昇る朝日は、強い力にも。

落ちる夕陽は、弱い力にも見えます。

昇れば、落ちる。

生まれれば、死す。

これも、自然界の法則です。

-----------------------------------

キャンバスに白波が映える。

何もなかったキャンバスに、さざ波が立つ

赤かと思えば、蒼となり

蒼かと思えば、赤となる

赤で塗ったほうが良かったのか

蒼で塗ったほうが良かったのか

時の流れは、物語る

人生の茜空に

風に靡いて、さざ波が立つ

生まれては流れて、次の波が

赤く生まれて、蒼になり

蒼く生まれて、赤になる

-----------------------------------

キャンバスの中に染まる

生まれ落とされた、肌の色

ピンク色に光り輝き

幸せの色が、手を差し伸べる

あっちから、こっちから

見渡せば、虹の色に

虹の掛け橋が描かれた

これで、おしまいに

ハッピーエンドに

キャンバスは、空白を好まない

たちまち、あたり一面に曇り色が

虹の掛け橋は、光を失う

不安な色が、小走りに動く

-----------------------------------

キャンバスの色が変わる

昨日の色は ばらに似て

今日の色は 灰の雨

明日の色なら うわの空

過去に引きずり 鳥が鳴く

カッコー鳥の 鳥が鳴く

過ぎた昔は 忘れたい

記憶の窓を ふさいだら

頭の中は 真っ白け

そらみたことかと 風が言う

風に吹かれて ポッタリと

落ちたその色 なんの色

-----------------------------------

キャンバスは嘆く

三々九度の 筆の色

散々苦労の 筆の色

一筆書きは とめどなく

右に左に なぞられて

色の上から 色を呼び

重なる色は チョコに見え

オッチョコチョイが 丸見えに

見えた見えたぞ 世渡りの

細いロープの 綱渡り

落ちても落ちても 怪我もせず

土台のキャンバス 受け止めて

紙の上なら 広いよと

次なる色の 出番だと

色の使いが はしゃり出る 

-----------------------------------

色の使い方

キャンバスは 足3本で がっちりと

腰を据えて 待ってます

白い大きな 紙を敷き

筆の動きを 待ってます

どこから書こうか その日の気分

人生模様の 下書きに

色を染めれば 色替わり

過ぎた昔の 上書きに

年の数だけ 筆が伸び

筆の動きで 落ちる汗

汗に滲んだ 朱の色は

誰に染まった 色なのか

色の世界は 限りなく

遥か彼方に 呼びかける  

-----------------------------------

色の流れ

キャンバスは 噂の匂いに 人だかり

蠢く色に ざわざわと

揺れては動く カゲロウに

筆の走りは 震え顔

この絵なんだろ なんだろな

浮世の端に ひっそりと

息をこらして 止まり木に

時の流れも 止まりげに

筆が止まって 動かない

しばしの別れと 筆は言う

筆さん筆さん 動いてね

呼んでみたとて 知らん顔