***詩は人生の細波***
キャンバスの中の夕陽。
それは、あなたです。
いや、わたしかも知れません。
どっちでもいいんです。
「キャンバスに 落ちる夕陽も 寂しげに 夢落城の 残り華かな」
昇る朝日は、強い力にも。
落ちる夕陽は、弱い力にも見えます。
昇れば、落ちる。
生まれれば、死す。
これも、自然界の法則です。
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キャンバスに白波が映える。
何もなかったキャンバスに、さざ波が立つ
赤かと思えば、蒼となり
蒼かと思えば、赤となる
赤で塗ったほうが良かったのか
蒼で塗ったほうが良かったのか
時の流れは、物語る
人生の茜空に
風に靡いて、さざ波が立つ
生まれては流れて、次の波が
赤く生まれて、蒼になり
蒼く生まれて、赤になる
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キャンバスの中に染まる
生まれ落とされた、肌の色
ピンク色に光り輝き
幸せの色が、手を差し伸べる
あっちから、こっちから
見渡せば、虹の色に
虹の掛け橋が描かれた
これで、おしまいに
ハッピーエンドに
キャンバスは、空白を好まない
たちまち、あたり一面に曇り色が
虹の掛け橋は、光を失う
不安な色が、小走りに動く
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キャンバスの色が変わる
昨日の色は ばらに似て
今日の色は 灰の雨
明日の色なら うわの空
過去に引きずり 鳥が鳴く
カッコー鳥の 鳥が鳴く
過ぎた昔は 忘れたい
記憶の窓を ふさいだら
頭の中は 真っ白け
そらみたことかと 風が言う
風に吹かれて ポッタリと
落ちたその色 なんの色
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キャンバスは嘆く
三々九度の 筆の色
散々苦労の 筆の色
一筆書きは とめどなく
右に左に なぞられて
色の上から 色を呼び
重なる色は チョコに見え
オッチョコチョイが 丸見えに
見えた見えたぞ 世渡りの
細いロープの 綱渡り
落ちても落ちても 怪我もせず
土台のキャンバス 受け止めて
紙の上なら 広いよと
次なる色の 出番だと
色の使いが はしゃり出る
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色の使い方
キャンバスは 足3本で がっちりと
腰を据えて 待ってます
白い大きな 紙を敷き
筆の動きを 待ってます
どこから書こうか その日の気分
人生模様の 下書きに
色を染めれば 色替わり
過ぎた昔の 上書きに
年の数だけ 筆が伸び
筆の動きで 落ちる汗
汗に滲んだ 朱の色は
誰に染まった 色なのか
色の世界は 限りなく
遥か彼方に 呼びかける
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色の流れ
キャンバスは 噂の匂いに 人だかり
蠢く色に ざわざわと
揺れては動く カゲロウに
筆の走りは 震え顔
この絵なんだろ なんだろな
浮世の端に ひっそりと
息をこらして 止まり木に
時の流れも 止まりげに
筆が止まって 動かない
しばしの別れと 筆は言う
筆さん筆さん 動いてね
呼んでみたとて 知らん顔